ジェヴォーダンの獣

ジェヴォーダンの獣(2001年)

監督:クリストフ・ガンズ
代表作品:クライング・フリーマン


主演:サミュエル・ル・ビアン(フロンサック)
ヴァンサン・カッセル(ジャン・フランソワ)
モニカ・ベルッチ(シルビア)
エミリー・デュケンヌ(マリアンヌ)
ジェレミー・レニエ(トマ・ダプシェ)
マーク・ダカスコス(マニ)


== さくらの思い ==


とにかく映像が美しい

この一言に尽きます。
あの、緑の美しさ・・・
カメラワークが、その美しさを上手く捉えてる気がしました。

あと、画面がすばやく切り換わったり、低い位置からその獣の足取りを伝える
カメラワークが、自然の美しさだけでなく、見る者に緊張感を与えます。

実は、さくら、歴史ものってちょっと苦手なの。
その時代の事を知らないと!とか、その国のことを知らないと!
とかってものは、苦手・・・
ジェヴォーダンも、見てすぐに「革命だ!」とか言い始めたから
これは、最後まで見られない~!と思っていたんだけど
あまりに美しい映像に(* ̄。 ̄*)ウットリ
そして、ハラハラドキドキするストーリーに最後まで堪能しました。

ちょーーっと分かりづらい(‥ )ン?
話し自体がおとぎ話ちっくなところもあったので
覚書は、その辺は上手くまとまらなかった・・・ごめんなさい。
って言うより、話しが長すぎて、まとめられませんでした!

日本って、外国と比べると信仰心が薄くて
宗教が、国を動かすなんて事がなかったから、
この映画を見ても遠い世界のお話にしか思えなかったんだ。
でもこう言った、権力には権力で!とよろいに身を包みながら戦ってみたり
このジェヴォーダンの獣のように、宗教的な力で権力を封じようとしたことも
昔は世界のいろいろな国で、あったんだろうなぁ…と感じました。

今こうして平和ボケの中で、自由気ままに生きていられることに
改めてありがたみを感じます。
革命・・・時に必要なのかもしれませんが
血を見る革命は必要ないと思います。

おとぎばなしのような、お話ですが
とにかく、あの映像美に・・・飽きずに見れる1本です。
我家はVIDEOデッキしかないから、今度DVDを買ったら
もう一度、見たいと思います。



== さくらのための覚書 ==


トマ・ダプシェは、今革命により、民衆の手で裁かれようとしていた。

革命は、人を偏狭にさせる。
偏狭(度量が狭いこと)さは、人を盲目にし、愚かにする。
人の心を蝕み、野獣に変える。

そして、彼は自分のわかかれし日を思い起こすのであった。
自分が若かった頃に、体験した「獣」の出来事。

1764年。ルイ15世の統治時代。
ジェヴォーダンに初めて「獣」が姿を現した。
人一人を、軽く振りまわせるほどの強靭さ、見たこともない恐ろしい姿。
その「獣」の噂話は、国中に広まり、人間では太刀打ちできないと伝えられた。

老人と女性が、暴漢に襲われていた。
そこに、二人の男が現れ、二人を救出してくれたのだ。
その男は、フロンサックとマニ。
フロンサックは、騎士であり、パリの王室自然科学者。
マニは、フロンサックがアメリカへ派遣された時に出会った
先住民モホーク族の出身で、兄弟の誓いを立て行動を共にしている
いわば、フロンサックの弟子。

フロンサックとマニは、このジェヴォーダン地方で殺戮を繰り返す
「獣」の正体を暴き、その獣を捕らえ剥製にし、パリに持って帰るよう
ルイ15世に命じられ、ジェヴォーダン地方にやってきた。

ジェヴォーダン赴任中の宿は、アプシェ伯爵の城。
深い霧に包まれる、このジェヴォーダン地方の夜は、
修道院で保護している「獣」に襲われた女性たちの悲鳴が響き渡る。
翌朝、フロンサックはさっそくこの修道院に出向き、「獣」の似顔絵を作る。
すると、また女性が獣に襲われたと知らせが入ったのだ。
「獣」は、女性と子供しか襲わないらしい。

できあがった似顔絵を持って、フロンサックとマニは城へ戻る。
そこには、司教閣下、モンカン公爵、モランジアス伯爵、伯爵夫人、
子息のジャン・フランソワ、地方長官ラフォン、サンタルパン司祭、
サルディス神父がいた。彼らと「獣」について、意見を交わす間
ずっと部屋にはチェンバロが鳴り響いていた。
演奏が終わり、みんなが拍手を送る中、奏者が部屋を出ていく。
フロンサックはその奏者『マリアンヌ・ド・モランジアス』に
一目で恋に落ちてしまった。

その日、ジェヴォーダン地方では、フランス最大の狩が行われた。
その狩の中で「獣」を捕らえたものには、賞金6000リーヴルが懸けられた。
フロンサックやマニ、そしてあのマリアンヌもその狩に参加した。
しかし、狩を終えてみると、そこには狼の死骸だけが山積みにされ
獣を捕らえる事は誰一人、できなかったのである。
マニは、その死骸を見て、その場を去ってしまう。
そんなマニを見た人々は、フロンサックに彼について尋ねるが、
彼は恩人だと答えるフロンサックの答えも、信じることなく偏見を持つようになったのだ。

ある日、一人の男が「山で子供が行方不明になった!」と、教会に乗りこんできた。
フロンサック達は、人を集めて山に探しに行くが、そこには兄の死体。
その噛み傷には、獣の牙が残されていた。
フロンサックは、その牙を見て狼でないことを悟った。
鉄でできたその牙・・・

そして、マニが女の子の死体を腕に抱え、帰ってきた。
その夜、誰もいない部屋で、マニは女の子の死体の上にまたがり、
蘇生するための祈りをささげていた。
しかし、それを見られてしまい「呪いをかけていた!」と勘違いされてしまう。
一方、フロンサックも、マリアンヌへの思いが届かないことの気持ちを
慰めるために情婦の元へ通っていることがマリアンヌにばれてしまい
二人ともジェヴォーダンを追い出されることになってしまった。

数日後、若伯爵のトマ・ダプシェが、彼らの元へやってきた。
また、獣が現れて、人々を襲っているから助けて欲しいと。
フロンサックは断った。しかし、若伯爵はマリアンヌからの手紙を
フロンサックに渡し、OKをもらう。

フロンサックは、マリアンヌの手紙に書かれた、ルーリエ夫妻の家に向かった。
ここは、マリアンヌの乳母の家。
やっと再会を果たし、喜び抱擁する二人の足元で、ワインを取りに行った夫の悲鳴が。
地下には、獣がいて夫を簡単に振りまわし、殺してしまった。
そして、天井を突き破り、フロンサック達のいるフロアへとやってきたのだ。
家を壊しながら、襲いかかる獣だったが、なぜかマリアンヌの前で、おとなしくなる獣。
それを見たフロンサックは、「獣は、邪悪な意図を持つものの道具であり、
噂を広め人々を恐れさせるためだ!」といい「『啓蒙主義に寛容な王を
獣が襲いに来る』と言う書物を書いたものが、この獣の黒幕だ!」と断言した。

その後も獣による殺戮は続いたが、国は獣が死んだと発表した。

フロンサックとマニ、そして若伯爵のトマ・ダプシェの3人は、
その黒幕を見つけるために、出発した。
その夜、マニはフロンサックにさえ分からない言葉で祈りをささげ
森に住む狼が、獣をフロンサック達の元へおびき寄せた。

獣は容赦なく、3人に襲いかかる。
彼らが用意した罠も、簡単に破壊し獣は逃げていった。
怪我をしたトマ・ダプシェのもとに駆け寄るフロンサック。
マニは、血痕を頼りに獣を追った。

マニは、獣の隠れ家を発見し、その奥へと進んでいくと
初日に出くわした老人がいたのだ。老人は、獣が怪我をしている姿に
同情し、優しい言葉をかけていた。
そんな姿を見つめるマニの回りには、老人と一緒にいた女性の仲間が
周囲を囲んでいたのだった。
一人一人と果敢に戦うマニ。確実に倒していくマニの目の前に、あの女性が
現れた。一瞬気を取られた隙に、マニは仲間に撃たれてしまうのだった。
マニは、彼らに抱きかかえられ、谷底へ葬られてしまった。
そんなマニを見つけたフロンサックは、マニの死体を丁寧に清めたのだった。

1人復讐へ出かけるフロンサック。
何事もなかったように、お祭り騒ぎをするあの女性とその仲間達。
フロンサックは、彼らの馬小屋に火矢を放ち、宣戦布告をする。
マニの復讐を誓ったフロンサックは、力強くその男たちを殺していった。

明朝、フロンサックはインディアンであったマニの風習に従い
夜明けに火葬した。彼の魂を祖先に送るために。
そこに、サルディス神父が現れ「あなたが来てから多くの血が流された。
どうか国へ帰ってください。」とフロンサックに言う。
しかし「やることをやってからだ!」と言うフロンサック。
そんな彼に「命を捨ててでもやるのか?」と問う神父に
「お前も一味か?」と問いかけるフロンサックに、認める事もなく立ち去った。
そして、火葬も終わり、遺骨を納めていると「地方長官の命令で逮捕する!」と
数名の男につかまり投獄されてしまった。

そんなフロンサックの元へ、あのなぞの情婦が面会へやってきた。
彼女はボロボロになったフロンサックを見て、ご飯を与えるよう牢の番人に
言う。食べさせながら、獣のことをフロンサックに聞いた。
フロンサックは「なぜ聞くのか?」と聞き返すと、彼女は
法王にサルディスから2年前に極秘の手紙が届き、神に忠実な同盟を創設した。
彼らは狂信的までに神の言葉を守り広めるのだという。
フロンサックは、サルディスが黒幕かと聞くと「獣は王に対する脅しで、神を侮る者に
裁き下すと。神の狼と名乗った。」と言う。教会の仕業かとの問いに
「啓蒙主義のサルディスが勝手にやったこと。ローマの教会は何も関係ない。」と
答えた。フロンサックは、そのまま食べ物の毒で、倒れてしまった。

マリアンヌはフロンサックが死んだことも知らず、彼に会わせるよう面会を願うが
断られてしまう。マリアンヌは怒り、国王に報告すると言うと、
フロンサックが死んだことを打ち明けられた。遺体を見に行く彼女の元へ
サルディスが兄と共に現れた。無理やり引き離されるマリアンヌ。
彼の死がローマに届かぬうちに、何も明かされないまま、彼の遺体は葬られた。

獣は、それ以降村人を襲わなくなった。
フロンサックの死で、獣も消えたのか?

情婦の手でフロンサックの遺体は掘り起こされ、蘇生する。
神に忠実な同盟の集会に彼はあらわれ、仮面で顔を隠す公爵たちの名前を
次々に明かしていくのだった。
抵抗する同盟たちに、フロンサックは一人で戦い、次々と倒していく。
背後から、フロンサックの護衛が銃を放ち、彼らを追い詰める。
その場に残った、フロンサックとジャンの一騎打ちが繰り広げられた。
フロンサックは戦いながら「あの獣たちを作ったのはおまえか?」と聞く。
「なぜ分かった?」とジャン。
すると、フロンサックは以前獣に襲われた遺体から発見した牙のことを話した。
その牙に使われた銀とジャンの銃の玉の銀が同じもだったのだ。
フロンサックは、ジャンとの戦いに勝った。

サルディスは、追われていた。
獣が人々を襲ったように、彼も最後は狼によって裁きを受けた。

マリアンヌはフロンサックの腕の中で、息を引返した。
若伯爵とフロンサックは、ジャンの隠れ家に行き、獣にとどめを刺した。
獣は、老人の前で息耐えかけていた。老人は全てを話してくれた。
獣は、ジャンがアフリカから持ち帰ったもので、子供が生まれ一番強いものだけを残した。
忍耐と残忍さで調教をしたと。

ジェヴォーダンの獣は死んだ。
トマ・タプシェ(若伯爵)は真実を知る最後の人間だった。

そんな彼が、今革命によって民衆の手で裁きを受けようとしていた。
彼は、フロンサックにアフリカへ行こうと誘われていたが
任務のために断った。
それから、フロンサックとマリアンヌのことを思いながら年老いてきた。
二人はきっと幸せに暮らしているだろうと、そう信じて・・・

その思い通り、フロンサックとマリアンヌは、幸せな日々を過ごしていた。


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